緊急避妊薬は中絶薬ではない

緊急避妊薬は、有効成分として女性ホルモンを配合した製剤であり、この有効成分のはたらきによって、妊娠に至るまでのさまざまな過程がブロックされるというものですので、本質的に人工妊娠中絶などとは異なるものです。
女性が妊娠に至る過程を簡単に紹介すると、まず、卵巣と呼ばれる器官から、生理の周期ごとに卵子が放出されることを排卵といい、この卵子が受精して受精卵となったところで、卵管を通って子宮までたどりつき、その後に子宮内膜と呼ばれる厚い組織に着床して、妊娠が成立します。
緊急避妊薬の作用はいくつかありますが、排卵が抑制される、粘液が出て受精を妨害する、子宮内膜が厚くなる前に剥げ落ちて着床できなくなる、というのが主なもので、いずれも受精卵が着床・妊娠に至る直前の段階にかかわっています。
いっぽう、人工妊娠中絶にはいくつかの方法がありますが、これはすでに妊娠が成立して以降にとられる手段であり、わが国では母体保護法で指定された医師にのみ許されているものです。
一般に、妊娠初期の段階であれば、子宮口を開いた上で、子宮内の胎児と胎盤を器具で掻き出したり、または吸引したりすることによって中絶手術を行います。
わが国では違法となりますが、海外ではさらに加えて、妊娠が継続するために必要となる黄体ホルモンのはたらきを止めて人工的な流産の状態をもたらす中絶薬にあたるものが市販されています。
また、妊娠中期以降であれば、わが国でも子宮収縮剤と呼ばれる薬物によって、人工的に陣痛を引き起こし、早期流産をさせるという方法がとられます。
このように、緊急避妊薬は妊娠をするのを未然に防ぐための医薬品であり、妊娠後に人工的な流産をもたらす中絶薬とは明確に異なるものです。